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art のための table talk vol.9 レポート

  • kawaruaidanobijyut
  • 2月24日
  • 読了時間: 4分

更新日:6月10日

[トピック 9]

アーティストの制作と生活:美秋

[日 時]

2025 年 2 月 22 日(土) 15:30-17:00

[会 場]

open garden(マルヤガーデンズ 7 階) 鹿児島市呉服町 6-5

[ゲスト]

美秋(アーティスト)

1998 年鹿児島市生まれ、東京在住。多摩美術大学美術学部油画中退(-2019)、東京藝術大学美術学部油画卒業(-2023)。現在、東京藝術大学美術研究科 GAP 専攻修士在籍。

「パフォーマンスプラットフォーム/ハムたまごサンドイッチ」「Performance Lab (東京藝術大学)」主催。絵画とパフォーマンスを中心に制作。

絵画では古典的な歴史画の構造を再解釈し、「現代におけるパフォーマティブとは何か」を問いかける実践として、人物や人体を含む表象を描く。

[参加メンバー]

かわるあいだの美術実行委員(木浦奈津子/画家、さめしまことえ/美術作家、原田真紀/イ

ンディペンデント・キュレーター、平川渚/美術作家)・黒岩美智子(ガーデンズシネマ支配人)








桜島でアーティスト・イン・レジデンス(Art Meets ふるさと)に参加中のアーティスト・美秋さんをゲストにお迎えし、これまでの制作のこと、桜島で取り組んでいる作品のことについてお話をお聞きした。


■これまで制作した作品について

自身が制作テーマとして扱う〈パフォーマンス〉についてお話いただいた。パフォーマンスには意識的に行うものと無意識的に行うものがあり、前者は行為によって目的が達成されるもの、後者はある行為をしたことで呼び起こされるもの。例えば東京の上野にいて桜を見ると鹿児島の紫原での高校時代を思い出すというようなことで、自身は後者に関心があるということだった。美秋さんにとってパフォーマンスは実験であり、そこで気づいたことを絵にする、とお話くださった。


次に自身のこれまでの作品について解説いただいた。離れた場所にいる相手が大きな絵を描き、その体の動きのみをZoom画面越しに見て、自身も同じ動きで絵を描く。二者によって描かれた絵は同じものになるのかを実験する「人間ファックス」という作品や、大学のオンライン授業の際に参加者それぞれの裸足を画面に向けて足裏で行う「足裏ZOOMラジオ体操」など。このパフォーマンスを行う前に、授業に参加するクラスメイト全員に対し、その人が足裏でラジオ体操をしている様子を絵に描いてメールで送ったそうで、パフォーマンスと絵の関係がとても面白く感じた。別の作品でパフォーマンス後にそれを記録するために絵を描いた際、「パフォーマンスをしている自分が絵の中に閉じ込められて、キャンバスの中で永遠にパフォーマンスをしている感覚になった。絵の中の自分の方がパフォーマンスがうまくいっていると思った」という言葉や「パフォーマンスを記録しようとする時、写真や動画よりも絵にしたほうが可能性があると感じた」という言葉も興味深かった。


■現在滞在している桜島で制作している作品について

滞在制作を通して考えているのは、防災のこと。桜島では噴火は当たり前のことで、島中に100ヵ所以上退避壕があったり、避難訓練がしょっちゅう行われるなど〈逃げる〉ことが肯定されており、それが面白いと感じた。そこら中に逃げ込める場所があるというような場所は、世界を探してもそう多くはないのではないか。自身も、現在東京から全ての予定を振り切って桜島へ来ており、〈攻めの逃げ〉の状態である。一人退避壕の中で数時間過ごすなどし、そのパフォーマンスを絵にして日々過ごしている。


■ライブパフォーマンス


■今後

かわるあいだの美術メンバーや来場者からも、絵を描くこととパフォーマンスの関係性について質問が挙がった。美秋さんによると、パフォーマンスをしていると絵が描きたくなり、絵を描いているとパフォーマンスのアイデアが浮かぶとのこと。また、ひとつのパフォーマンスをするのにたくさんのメモを作り、終わった後に絵にすることも多い。思考と絵や言葉が接続しており、それらと身体を使うパフォーマンスが回路を通じて相関しているような印象を持った。今後の美秋さんの作品の展開や活動に鹿児島からも注目し続けたい。(平川渚)

 
 
 

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