[5月のトピック]
遠距離現在展参加レポート
[日時]
2024年5月25日(土)15:30-16:50
[会場]
マルヤガーデンズ7階 open garden
[参加メンバー]
かわるあいだの美術実行委員(木浦奈津子/画家、さめしまことえ/美術作家、原田真紀/インディペンデント・キュレーター、平川渚/美術作家)
黒岩美智子(ガーデンズシネマ支配人)
[参加人数]
6人
おそらく、30代で全国3会場(熊本市現代美術館、国立新美術館、広島市現代美術館)を巡回する美術館主催の特別企画展に参加したのは、鹿児島のみならず、九州を見渡しても、ここ10年?20年?の間、木浦奈津子しかいないかもしれない。これは九州の美術関係者の中で大変な話題となり、同じ鹿児島在住というだけで私までも「遠距離現在見ましたよ!」と声をかけられたこと複数回。この貴重な体験をぜひ多くの人に共有してもらうべく、「遠距離現在」展参加レポートとして発表をお願いした。
「遠距離現在」展はパンデミックが始まった2020年からの3年間を振り返るものだ。それ以前に制作された作品がほとんどで、パンデミックを経て見え方や捉え方の違いを再認識するような意欲的な構成だった。木浦のスライド22枚には、美術館主催の展覧会に初参加した率直な感想が散りばめられていた。VOCA2022展(上野の森美術館)で作品を見た学芸員からメールで依頼があったこと、美術館主催の展覧会への参加を目標としていたので、キャリア形成につながる喜びとともに、展覧会の文脈でどのように作品が捉えられるかわからない不安も。旧作のみならず、美術館の巨大ホワイトキューブを意識し、初の200号にも挑戦した。すべて作品用の箱を準備してもらえたこと、多くのスタッフたちと展示作業をする際は徐々にコツがつかめていったこと、専属の照明デザイナーや広報担当など、展覧会を実施するためのプロがいて、手厚くフォローしてもらえたことなども。
この機会を得て、自身の作品を客観的、俯瞰的に捉えることができたという。私が最も印象に残ったのは「美術の文脈で見てもらえた」という衝撃的な言葉だった。本土最南端の地方に住み、制作するということの様々な現実を考えずにはいられない。軸をぶれさせることなく、地方に生き、制作し続けるロールモデルとなってもらいたい。そこからじわりと根がはっていくのではないだろうか。
文責=原田真紀
遠距離現在展Universal / Remote
2024.6.29-9.1 広島市現代美術館
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